(第1夜)『深夜の音楽食堂』松重豊×長岡亮介の文字起こし

(第1夜)『深夜の音楽食堂』松重豊×長岡亮介の文字起こし
 

松重豊がパーソナリティを務めるラジオ番組『深夜の音楽食堂』。「おげんさんといっしょ」での共演がきっかけで長岡亮介がゲストに招かれ、12月11日と18日の2夜に分けてオンエアされました。

界隈で大反響となった2人の貴重な対談を文字起こししてみましたので、お手すきの際に是非ご覧ください。

まずは、12月11日放送の第1夜分からどうぞ。

あいさつ

豊「今夜のお客様はこの方です。」

亮「こんばんは、ペトロールズの長岡亮介です〜。」

豊「いやぁ、いらっしゃいました、どうも。」

亮「お邪魔します。」

豊「よろしくお願いいたします。」

亮「お願いします。」

豊「“おげんさんといっしょ”というですね、星野源くんの面白いNHKの番組で楽屋にCDを持ってきて頂きまして、本当にありがとうございます。」

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亮「いえいえ(笑)」

豊「いやもうね、ペトロールズは配信とかやってないんでね、現物主義ですからね。現物頂かないことにはね。それがまた素晴らしアルバムでね、もうこんなアルバムを頂いたらもう是非ゲストで来て頂きたいと懇願いたしまして、なんと今日は実現いたしました。本当によろしくお願いいたします。」

亮「ありがたい話…。ありがとうございます。」

プロフィール

豊「まずはプロフィールをご紹介いたしまします。1978年千葉のご出身で、2005年にペトロールズを結成。ここまでの経緯がね、非常に興味があるところですけれどもね。若干もうここに30年弱の…自身のバンド組まれるまでに。ここの紆余曲折がね、いろいろ気になるところ。長岡さんはヴォーカル・ギター。ベースは三浦淳悟さん…ジャンボさん。ドラムは川村俊英さん…通称ボブさん、による3人組。グループ名はイギリスでガソリンを意味するペトロールから。ほー、そうなんですか。イギリスのガソリンの俗称。」

亮「そうなんですよ。」

豊「長岡さんが着けたらしい。車、好きですかぁ。」

亮「はい。」

豊「さっきも、ちょろっと伺いましたけど、私あの、たいした車好きじゃないですけど、旧車とかあんま知らないですけどもね、車はもう大好きなんですよ。」

亮「あ、そうですか。」

豊「その辺の話を。」

亮「仲良くなるぞ!」

豊「よろしくおねがいしますね!仲良くなれるかな(笑)」

亮「はは(笑)」

豊「2005年から2012年までは、浮雲名義で東京事変のギタリストと。」

亮「あー、そんなこともありましたねぇ。」

豊「もう過去の話ですか。」

亮「…ぬふふ(笑)」

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豊「そのほか、星野源くんを始め、様々なアーティストのサポートやプロデュースを行っています。そして自らのバンドペトロールズですが、2015年に結成10周年で初のフルアルバム『Renaissance』をリリース。この10年間というのは凄いですね。」

亮「ね、だらしない。」

豊「いや、だらしないっていうか(笑)長い間、ライブ会場限定で作品を販売してきていたのですが、全国流通盤としては初ということで、その辺のこだわりも気になるところでございます。また、2017年には、ORIGINAL LOVEやSuchmosなどペトロールズをこよなく愛するミュージシャンによるペトロールズのカバーアルバム『Where Who What Is PETROLZ?』も制作され話題を呼びました。そして、今年10月に2ndアルバム…どう読むか…『GGKKNRSSSTW』が…これでいいんですか?」

亮「はい…なんでも良いんです。」

豊「なんか、ぐぐかかんすすすとぅ〜。」

亮「あ、それが良いんじゃないですか(笑)」

豊「ははは(笑)それだともう検索のしようがないんで。まぁ、GGと頭についてますね。これは楽曲の曲順ですね。」

亮「そうですね。」

豊「まぁそういう変わったタイトルの2ndアルバム。素晴らしいアルバムなんですけどもね。それが10月にということで、ついこの間出来たばかりということでね、タイトルにも1曲1曲捻りが効いています。というわけで、神出鬼没の音楽家長岡亮介さんにお越しいただきました。今日はね、ニューヨークから?中国のフェスから?どちらから帰られた感じですか。」

亮「今日は中国のフェスですね、はい。」

豊「中国のフェス帰り。さぁ長岡亮介さんとはどういう人なのでございましょうか。」

\PopVirusWorldTourのNY公演のレポートが掲載!/

音楽の世界へ入った理由

豊「大体その、サポートで色んな所に呼ばれたりして…ようするに自分のバンドとかっていうものよりも、そっちのほうで大体日々過ごしてた時期が結構長い感じなんですか。」

亮「そうですね。」

豊「そういう流れになっちゃったんですか。それとも最初からそういう風に希望してたわけなんですか。」

亮「自分から曲をやろうって意識が最初あんま無かったんで、結成するまでは。」

豊「曲をやろうとするイメージがなくて、言われるギターを、ここでどういうのお願いしますみたいなことが、自分の中での良いモチベーションになってたということなんですか。」

亮「そうですね、そうです。」

豊「へぇー。そもそも、千葉でどういう音楽嗜好でこういう世界に入られたんですか。」

亮「親が音楽好きだったっていうのはありあますよね。父も母も音楽好きで。」

豊「ブルーグラス?」

亮「そう、うちの父はブルーグラスをやっていました。」

豊「ブルーグラスって、日本の音楽人口の中での何%くらいを占める人たちが、ブルーグラサーなんですか。」

亮「小数点つきますかね、どうなんですかね(笑)」

豊「昔ね、珉亭っていう下北のラーメン屋でバイトしてた頃に、2階の給餌をやってた人間がブルーグラスの人間だったんですよ。ブルーグラスのバンドやってる人で。」

亮「なんて名前ですか?」

豊「金山さんっていう人なんだけど。」

亮「金山さん…はぁー…。」

豊「歳はいまね、もう60半ばくらいいってるかな。」

亮「知ってるかもね、知ってるかも、うちの父と。わかんないけど。」

豊「金山さんじゃない、金江さんだ。」

亮「金江さん…!?」

豊「そんな狭い世界?」

亮「狭い、狭いですよ。千葉でブルーグラスフェスとかやってたんですよ。関東のバンドとかは来てたんですよ。」

豊「あの頃、うちのバイト先が結構バンド系の奴らが…甲本ヒロトくんとかがいたから、バンド系のやつが多くて、彼らに一番バカにされてたんですよ。」

亮「浮いてますよね、きっと(笑)」

豊「陽気にゆこうと〜♪てやってるって感じで、バカにされてたんですけども(笑)バカにするわけじゃないですけども、ご両親はその小数点以下かもしれないブルーグラスを。」

亮「そう、父は。母はやってないですけど。父は福岡の西南学院大学のブルーグラスサークルで。」

豊「びっくりー。繋がりましたね、私の母校。」

亮「あ、母校なんですか?」

豊「西南学院高校なんですよ。」

亮「あ、素晴らしい。」

豊「そこのブルーグラス?」

亮「そうです、大学の。」

豊「えー。おいくつぐらいなんですか?」

亮「もうね、亡くなったんですけど。69で数年前に。」

豊「あ、そうですか。あの頃のブルーグラスはやっぱりちょっとブームはあったんですよね。」

亮「そうです。ちょっとお洒落でしたよね、きっとね。」

豊「それをずっと聴いてた?お父さんギターも弾かれて。」

亮「そうですね、バンドではベースをやったりもしながら。でも当時子どもの頃は、曲がやっぱ似てるから、テンポとかも。あんまり好きではなかったんですけど。歳取るにつれてやっぱりどんどん。すごい好きですね。」

豊「聴いてたから、DNAみたいなものに染み付いてると。」

亮「そうなんですよ。」

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学生時代の話

豊「その後、やっぱお父さんがやられていたブルーグラスとかじゃなくて、バンド組もうと思ったときは…。中学時代にバンド組まれたんですよね。」

亮「それはもう友達と、ユニコーンとかをやるみたいな。」

豊「あ、J-POP系の。」

亮「とか、そうですね。あと、あの頃はカーディガンズとか流行ってたからそれをやったりとか。」

豊「ギターはもう最初から弾けるというか。」

亮「ギターはハマりましたね。全然やるつもりなかったんですけど。中学校から始めて、朝弾いてから学校行ったりしてました。」

豊「へー。それで中学時代やって…。“ししゃも”という。」

亮「ししゃものことよく調べたなぁ。ウチらのほうが先ですよ、もちろん。」

豊「先後はまぁね、どちらがメジャーかといわれると、たぶん後の人たちのバンド(SHISHAMO)かもしれませんけど。」

亮「そうですね。」

豊「それはもう中学時代だけで。」

亮「今でもたまにやりますよ。」

豊「あ、やってるんですか、千葉で?」

亮「千葉とは限らないんですけど、皆でたまーに集まってリハビリするみたいな。」

豊「いいな、なんかそういう繋がりがあるっていうのは。」

亮「いいですよね、そうそう。」

豊「みんなプロでやってるんですか?」

亮「いや、全然みんな、いろいろです。」

豊「へぇー、そうですか。それで普通にトントンと進学しつつ…。別に高校時代にバンド組んでそこからどこかメジャーに出ていくっていうような流れもなく。」

亮「なんかね、なんとなくそういうことになったら良いなって、心の底では若干思いつつも…。」

豊「淡い感じで?」

亮「淡い、本当に。めちゃくちゃ淡い感じでした。でもそんなに…ちゃんとやっぱ学校卒業しなきゃいけないって…。」

豊「あ、いい子。」

亮「そうですね(笑)そういう風に思ってましたね。」

豊「で、学校ちゃんと卒業したんですか。」

亮「そうです、大学…はい。4年で。建築学科(笑)」

豊「建築学科!?」

亮「全部忘れちゃったけど(笑)」

豊「建築!?」

亮「建築学科にいましたよ。」

ブルーグラスで1曲

豊「音楽食堂このへんで1曲行きましょう、長岡さんの選曲でひとつお願いいたします。」

亮「じゃあルーツということで、ブルーグラス。ちょっとモダンなんですけども、新し目のブルーグラス。聴いて貰おうかなと思います。ナッシュビル・ブルーグラスバンドで『Blue Train』」

豊「お父さんずーっとこういうブルーグラスばっかりやってたんですか?」

亮「ずっと学生の頃からやってて、学生の頃は米軍キャンプとかいったり。」

豊「あーその時代ですか。西南学院ブルーグラスクラブ。」

亮「マウンテンプレイボーイズっていう(笑)」

豊「へぇー今もあんのかな。」

亮「どうなんだろ、もう無いかもしれないですね。わかんないけど。サークル名は残ってるかもしれない。」

豊「こういうカントリーっていうのはなかなか、深夜の0時半過ぎに聴くと、目が覚める音楽ですね。新鮮な感じで。」

亮「珍しいですかね、このマイナー調のブルーグラスってあんま無いと思うんですけど。」

豊「あー、マイナー調のっていうのは、そういうのはやっぱりそのペトロールズの音楽にも、もの凄く大きな影響を及ぼしているということなのでしょうか。」

亮「あるかもしれないですね、どうなんでしょうか(笑)」

就職活動をせずにプロの道へ

豊「大学…その建築学科出て、そのまま就職したんですか?」

亮「就職しませんでしたね。なんかね、就職説明会みたいなのに行こうとして、友達の家に集まって、じゃ行くかってなったんですよ。スーツ着ていったんですよ。でも「あ、ちょっと俺、辞めるわ」って、そのまま家に帰っちゃった(笑)」

豊「なんで、なんで辞めたの。」

亮「わかんないんですよね、ちょっとなんか辞めようと思って(笑)」

豊「その頃バンドはやってたんですか?」

亮「その時は、カントリーのバンドとか…茅ヶ崎のカントリー歌手がいて、その人のバックを。結構忙しかったんですけども。」

豊「それでプロになるっていうまでは、スイッチが入っていなかったと。」

亮「でも、なんか大丈夫なんじゃないかと思ってて。その時、椎名純平さんのバックでも、もう。」

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豊「どういう出会いだったんですか?」

亮「それはライブハウスなんですよね。友達が手伝ってるユニットみたいなのを見に行ったんですよ。その対バンでいて。彼がキーボードで歌っていて、ベースとドラムとパーカッションだったかな。で、ギター弾かせて下さいってお願いしたんですよ。」

豊「それから妹さん(椎名林檎)の方にも呼ばれるようになって…。」

亮「そうですね。」

豊「そこでやりながら、いろんな人から、じゃあ来てよって呼ばれるようになっていったんですか?」

亮「でも、そんなにいろんな人っていうことでもないですけど。」

豊「そうですか?イメージとしては、いろんな人にとにかく…。何人いるんだろうって感じで、いろんなところでサポートされてるイメージがあるんですけども。」

亮「いやでも、もっとやってる人はいろいろやってるんじゃないかな…。ハマるハマらないは結構ありそう。相性が。」

豊「へぇー。イギリス留学もされてたんですか。」

亮「留学というほどでも無いですけど、半年ぐらい。」

豊「音楽留学?」

亮「いや、ブラブラしてただけですね。」

豊「どこを?」

亮「ロンドン。で、後半は、いろいろ行ってました、ヨーロッパ。ギターとか持っていってましたけど。」

豊「向こうの人と、何かやったりもして。」

亮「いや、それはそんなに。引っ込み思案が出ちゃって。でもまぁ、パブでオープンマイクの時にちょっと弾いたりとか、そのぐらいしかしてないです。」

豊「変わったというか、控えめな武者修行をされる人なんですね。」

亮「控えめな武者修行(笑)」

豊「だから、結局そうやって椎名純平さんに呼ばれたり、東京事変とかっていうことをやりながら、ご自身のバンドを同時期にやり始めてはいたんですよね。ペトロールズは。」

亮「そうですね、純平さんとは被ってないですけど…でもそうですね。」

豊「いわゆる人のところでやるのと、自分の…戦後武将でいったら、俺は信長にはならないっていう。ようするに軍師とかで、ここの地方の大名としてはちゃんとやっていくぞっていう武将…みたいなイメージがあるんですよね。」

亮「ぼく戦、嫌いですね(笑)」

豊「あんまり殺すだのっていう争いに巻き込まれるぐらいだったら、その辺の農民を大切にしながら、ここの土地を育てたいというね。」

亮「そうですそうです。」

豊「今でいうと、名君と呼ばれるようなお殿様だけど、日本史的にみると、何をやっていたんだろう、この時代にっていう人かもしれない。」

亮「すごいな、そうなんですかね、わかんないですけど(笑)」

豊「ペトロールズがやっていることって、ものすごく…なんだろう。他に例えようが無いくらい変わったバンドじゃないですか。あれはやっぱり自分がやりたいことはそこに全部投影していく感じなんですか。」

亮「そうですね、どことも…やっぱり戦が嫌いなんですよ。土俵にも乗らないし。ふふ(笑)」

豊「他の人とやるときには、“俺はこうしたいんだけど”みたいなことは無いんですか。」

亮「それはね、あるんですよね。」

豊「あ、ある?でも戦にはならない程度?」

亮「そうですね…まぁ家で呑むみたいな感じですかね、そういうときはね。戦じゃなくて…もっとこんな良いことあるじゃん、みたいな感じでいたいですけどね。」

豊「わかりますね。僕も戦が起こるとちょっと…なんとかその場から逃げることしか考えてないんでね。」

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最新アルバムから1曲

豊「音楽食堂この辺でまた曲に行きたいと思います。今度は私が選曲させていただきました。10月に発売しました、ペトロールズの2ndアルバム『GGKKNRSSSTW』から、1曲目ですね『GIRL』。」

〜♪GIRL

豊「こういう歌っていうのは、ブルーグラスに影響を受けているんですかね?俺よくわらかないんですよ。」

亮「いや、多分全然入ってないです。」

豊「入ってない?なんでこの不思議な…一番気持ちのいい不安定さなの。」

亮「そうですね、誰かがやったようなことはしたくないってのはあります。」

豊「へぇー。」

亮「いまどきこういう8ビートとか、あんま無いなとおもって。そういう曲聴かないなと思って。」

豊「それでもこういうメロディーラインの8ビートっていうのも、ないじゃないですか。だから凄く新鮮っていうか。例えようもないぐらいに新鮮に感じるんですよ。」

亮「ありがたいです。」

おわりに

豊「今夜はペトロールズの長岡亮介さんとお送りしてきましたが、あっという間にお時間になってしまいました。」

亮「え、もう終わりですか。」

豊「そうなんですよ、だから来週もじっくりお話を聞かせていただければと思います。」

亮「はい、お願いします。」

豊「おしまいに、今後の予定ご案内あれば、よろしくおねがいします。」

亮「はい、特にありませんので(笑)でも来年もね、変わらずにやって。」

豊「変わらずに。争いは嫌いだけども、頑張る気持ちは残ってると。」

亮「頑張ります。いろんな良いものをお届けしていきたいと思います。」

豊「良いもの、お届けして頂きたいですね。」

豊「今後の詳しい予定は、ペトロールズのホームページや長岡さんのTwitterなどをチェックしてください。」

豊「FMyokohama『深夜の音楽食堂』ここまでのお相手は、松重豊と…」

亮「長岡亮介でした。」

豊亮「おやすみなさい〜。」

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