椎名林檎と東京五輪の軌跡─リオ閉会式の熱狂から演出チーム解散まで時系列まとめ

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  1. 椎名林檎と東京五輪の軌跡
  2. 2014-2015:開会式への危惧と「東京の余裕」
    1. 2014年11月:NHK「SONGS 椎名林檎 〜どうなる?東京五輪〜」
    2. 2015年7月:東京のグランドデザイン検討委員会
    3. 2015年9月1日:エンブレム白紙撤回への提言
  3. 2016:世界が絶賛した「リオ閉会式」の衝撃
    1. 2016年1月:セレモニー検討メンバー選定
    2. 2016年8月:『13 jours au Japon ~2O2O日本の夏~』リリース
    3. 2016年8月22日:リオ五輪閉会式「フラッグハンドオーバーセレモニー」
    4. 2016年9月:リオ2016 パラリンピック閉会式
    5. 2016年9月15日:NHK「クローズアップ現代+」
  4. 2017-2019:進み始めた国家プロジェクトと音楽的試み
    1. 2017年10月28日:NHK「内村五輪宣言!」
    2. 2018年12月:演出チーム8名が正式発表
    3. 2018年8月:NHK「東京パラリンピック1年前カウントダウンセレモニー」
    4. 2019年5月:アルバム『三毒史』リリース
  5. 2020:暗転するビジョン、演出チームの解散
    1. 2020年1月:菅野薫 辞任
    2. 2020年1月:MIKIKO セレモニーの概念について語る
    3. 2020年2月:新型コロナウイルス襲来
    4. 2020年3月:東京五輪の延期が決定
    5. 2020年3月:西村大臣へ支援強化依頼
    6. 2020年7月:東京事変 無観客ライブを開催
    7. 2020年12月:開閉会式演出チームが解散
  6. 2021:相次ぐ混乱とリーク
    1. 2021年2月:森会長 辞任
    2. 2021年3月:佐々木宏 辞任
    3. 2021年3月:MIKIKOチーム開会式案の一部がリーク
    4. 2021年4月:政治家たちの口利きリストがリーク
    5. 2021年7月:東京五輪が開幕
    6. 2021年7月:MIKIKOチーム開会式案がさらにリーク
    7. 2021年8月:MIKIKOチーム版開会式を完全再現
    8. 2021年10月:幻の共演がMステで実現
  7. おわりに

椎名林檎と東京五輪の軌跡

2016年、世界を驚かせたリオ五輪閉会式の「フラッグハンドオーバーセレモニー」。その音楽監督を務め、東京五輪への期待を一身に背負っていたのが椎名林檎でした。しかし、そこから2021年の開催に至るまでの道のりは、当初の輝かしいビジョンとは裏腹に、演出チームの解散、相次ぐ不祥事といった混沌を極めるものとなりました。

一体、あの時何が起きていたのか。椎名林檎という稀代のアーティストは、巨大な国家プロジェクトの中でどう立ち回り、何を見届けてきたのか。本記事では、リオの熱狂から東京2020の閉幕まで、彼女と五輪を巡る激動の軌跡を時系列で詳しく辿ります。

2014-2015:開会式への危惧と「東京の余裕」

2014年11月:NHK「SONGS 椎名林檎 〜どうなる?東京五輪〜」

すべては一視聴者としての「危機感」から始まりました。椎名林檎は早い段階から、日本のカルチャー発信のあり方について警鐘を鳴らしています。

野田秀樹、蜷川実花と共に「どうなる?東京五輪」をテーマに鼎談。「日本が恥をかかないように」「利害関係でちぐはぐな演出になるのが怖い」と、クリエイターとしての純粋な懸念を口にしました。

「とにかく日本が恥をかかないで、外から見てる日本のカルチャーっていうのも、ここへ来て相殺してゼロ地点。ここです、ここが普通です、今の。っていうのを(発信してほしい)」

「誰も良いって言ってないのに、なぜかいろんな都合で、ここはこうなっちゃって、ここはこうなっちゃって、組み合わせちぐはぐでアチャーっていうのが怖いじゃないですか。いろんな事業でありがちな。そういうプロジェクトの進行をしちゃうくらいだったら、それは一切無しのほうがいいけど。」

「とにかく日本が恥をかかないように日本らしく…ね?お茶の間で観てる人達もみんな。それだけですよね。あと、花火の自慢だけはして頂きたいっていうのはある。海外に行ってると、お花の生け方と花火はさ、全然違うでしょ?それだけは黙って、無言で自慢しても良いんじゃないかと。」

「私いろんなところで聞くんですよ。どうなっちゃうの?あんなことになっちゃうの?って。一番恐れてるやつ。二部はなんか歌舞伎役者がこう…(イヨォ)みたいな。それで全部統一感ない感じでゆるきゃらとか日本の伝統とかが出てきちゃって…。きっとそうだと思います。全部出しちゃえって。誰がやってもなると思う。みんながやったほうが良いって言うのを全部入れちゃって」

2015年7月:東京のグランドデザイン検討委員会

「半世紀に生み出した宝物を未来へ託す」という観念のもと、具体的な提案を提出。

「この半世紀に生み出した宝物を未来の子供たちに託す」を観念とした文化的拠点づくりをしたい

・資料1: 東京のグランドデザイン検討委員会における提案の状況
・資料2: 東京のグランドデザイン検討委員会(第1回)
・資料3: 椎名林檎提出資料

2015年9月1日:エンブレム白紙撤回への提言

騒動を受け、「1964年のロゴを再利用し、二度目の余裕を見せては」とSNSを通じて持論を展開。

2016:世界が絶賛した「リオ閉会式」の衝撃

東京五輪への期待が最高潮に達した年。椎名林檎はついに演出の核心部へと関わっていきます。

2016年1月:セレモニー検討メンバー選定

佐々木宏、菅野薫、MIKIKOらと共に、リオ五輪閉会式セレモニーの担当に。

椎名林檎が選定された理由としては諸説あり、
・東京のグランドデザイン検討委員会での提案の縁
・過去に『NIPPON』や『スポーツ』といった作品を制作したことが評価
・和をモチーフとした世界観を築いてきた
などが一例として挙げられます。

2016年8月:『13 jours au Japon ~2O2O日本の夏~』リリース

同曲は1968年グルノーブル冬季五輪の記録映画のテーマとして書き下ろされた原曲に新たな日本語詞を加え、4年後に迫る2020年東京五輪に思いを馳せる。

13 jours au Japon ~2O2O日本の夏~[デジタル配信] - 椎名林檎 - UNIVERSAL MUSIC JAPAN

2016年8月22日:リオ五輪閉会式「フラッグハンドオーバーセレモニー」

8月22日に披露されたこのセレモニーは、椎名林檎が音楽監督として伝統とテクノロジーを鮮やかに融合させ、世界を驚愕させました。当時の安倍晋三首相がマリオに扮して土管から現れる演出やAR技術を駆使した表現は、次期開催地・東京のクリエイティビティを強烈に印象付けました。派手な装飾に頼らず、洗練された楽曲と一糸乱れぬ身体表現で「クールな日本」を提示した、わずか8分間の奇跡的なパフォーマンスでした。

世界の観客が沸いた! リオ大会 旗引き継ぎ式の舞台裏(前編)

2016年9月:リオ2016 パラリンピック閉会式

9月に開催されたパラリンピックのセレモニーは「個の輝きと混ざり合う多様性」に焦点が当てられました。その中心にいたのが、ボーカルを務めた浮雲。ピチカート・ファイヴの名曲『東京は夜の七時』を、椎名林檎がこの日のためにリアレンジ。浮雲が持つ独特の気だるくも甘い歌声が、リオの夜風と見事に溶け合いました。

世界の観客が沸いた! リオ大会 旗引き継ぎ式の舞台裏(後編)

2016年9月15日:NHK「クローズアップ現代+」

9月15日放送 NHK クローズアップ現代+
『仕掛け人がとことん語る!~リオ閉会式“奇跡の8分間”~』
佐々木 宏、菅野 薫、MIKIKO がスタジオ出演。椎名林檎はVTR出演。

「日本的とは何か」という問いに対し、チーム内でも意見が分かれた苦悩を告白。自らのルーツを再確認する作業の難しさを語っています。

「今、打ち込んでいることを繰り返し鍛錬していることが、どのような形で実を結ぶのかイメージできることが夢があるってことだと思うんです。世界がどうなっても変わらない価値を持ち続ける子供たちが、ずっとバトンを渡していってくれるように環境は整えないといけない。それは自分たち大人の義務だと思っています」


─オリンピック開催に後ろ向きな声も少なくない中で、突然、依頼が舞い込んだ時の心境は?
「すごく不祥事が続いている印象があると、みなさんおっしゃっていて、責任重大だなと。みなさんそうですけど、やりたい、やりたくないとかじゃなくて、お断りできなかったですかね。」

─東京で五輪をやる意味とは “仕掛け人”たちの自問
「日本らしさとか、東京らしさを考えるときが、一番意見は分かれました。難しいところでした。フジヤマ、ゲイシャ、ニンジャ、というところにいかなかったとしても、『日本的』か『そうではない』とか。いざ日本的だとなったら国粋的なのか。気にかけるポイント、ボーダー(境界)がそれぞれ違っている。最も取り扱いが難しいもの、自分たちのルーツはおそろいだったはずなのに、こんなに違うものなんだなと。

2017-2019:進み始めた国家プロジェクトと音楽的試み

演出チームが正式に発足し、東京五輪への機運を高めていった時期。

2017年10月28日:NHK「内村五輪宣言!」

MIKIKO、浮雲と共に一夜限りのスペシャルユニット「HUMAN ERROR」を結成。披露された『東京は夜の七時 -NHK東京五輪1000日前スペシャル-』は、浮雲の浮遊感漂うボーカルと洗練された演出が相まって、五輪へのカウントダウンを華やかに彩りました。

2018年12月:演出チーム8名が正式発表

野村萬斎を総合統括とし、椎名林檎もメンバーに名を連ねます。

◆総合統括
・野村萬斎

◆五輪統括
・山崎貴

◆パラリンピック統括
・佐々木宏

◆東京五輪・パラリンピック総合チーム
・MIKIKO
・川村元気
・栗栖良依
・椎名林檎
・菅野薫

2018年8月:NHK「東京パラリンピック1年前カウントダウンセレモニー」

林檎「これをたたき台に、皆さんで作っていきたいと思っております」

2019年5月:アルバム『三毒史』リリース

『三毒史』に収録された『あの世の門』ではリオ五輪で起用した合唱団と共演。五輪での経験が彼女の音楽制作にも深く投影されていきました。

  • 『急がば回れ』の歌詞は演出チームメンバーの誰かを揶揄しているのではないかと話題に。
  • 『あの世の門』のコーラスはリオ五輪セレモニーの「ヴァーニャ・モネヴァ合唱団」を起用。

2020:暗転するビジョン、演出チームの解散

パンデミックと不祥事が、積み上げた理想を飲み込んでいきました。

2020年1月:菅野薫 辞任

開閉会式の演出チームの一翼を担っていたクリエイティブディレクターの菅野薫が、電通関連社員へのパワハラ問題により役職を辞任しました。氏はテクノロジーを駆使した演出に定評があり、リオ五輪のセレモニーやGINZA SIXのプロモーションを成功に導いただけに、チームにとって大きな痛手となりました。

2020年1月:MIKIKO セレモニーの概念について語る

日刊スポーツ
人間が自信を!MIKIKO氏語る五輪開閉会式概念

-椎名林檎さんとはリオの引継ぎ式の頃から一緒にやってきた。音楽、演出という意味では共通点が多い。共感し、実際に動いているものはあるか
「本当に大事にしている部分は一緒だと思っています。人間の持っている『みずみずしさ』とか、いかに命を燃やしてパフォーマンスする環境をつくれるかとか。ただかっこいいもの、ただ演出がすごいものではなく、1人1人のパフォーマーや演奏に注目してほしい。3時間、人間そのものが演じていることを伝えたい。その部分は一緒だろうと思う」

2020年2月:新型コロナウイルス襲来

横浜港に停泊していたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内にて、新型コロナウイルスの感染者が確認されました。この事態は国内におけるパンデミックの深刻さを象徴する出来事となり、その後の五輪開催の行方にも暗い影を落とすこととなります。

  • 2月26日:政府より今後2週間程度の大規模イベントの中止・延期・規模縮小が要請され、PerfumeやEXILEなどが当日公演を中止。
  • 2月29日:東京事変が感染対策を実施した上でライブを実施し賛否を集める。

2020年3月:東京五輪の延期が決定

未知のウイルスの猛威により、東京五輪の延期が決定しました。世界中が未曾有の事態に見舞われ、積み上げてきたすべての計画が一時ストップを余儀なくされました。

2020年3月:西村大臣へ支援強化依頼

椎名林檎から西村康稔経済再生担当大臣(当時)へ、照明などの裏方を支える個人事業主が「売上ゼロ」の窮地に立たされている現状を直訴。この働きかけにより、苦境に喘ぐイベント関連事業者への支援策強化を促す契機となりました。

2020年7月:東京事変 無観客ライブを開催

本来であれば開会式当日となるはずだった2020年7月24日、東京事変がNHKホールにて無観客ライブを秘密裏に開催。誰もいない客席を前に、静まり返った開場から届けられたパフォーマンスは、沈黙を余儀なくされたエンターテインメント界の意地を感じさせるものでした。

2020年12月:開閉会式演出チームが解散

組織の再編に伴い、椎名林檎を含む当初の演出チームが解散。彼女が描いていたビジョンは、日の目を見ることなく事実上の終わりを迎えました。

朝日新聞(現在は404エラー)
「入場行進だけの式典は…」 幻の椎名林檎さん開会式案

大会組織委員会によると、コロナ禍に伴う式典の簡素化を短期間で進めるため、演出チームの一員だったクリエーティブディレクター佐々木宏さんに権限を一本化

椎名さんからの案は、佐々木さんによると、「入場行進だけの式典があってもいいのでは」というものだった。

読売新聞(現在は404エラー)
【独自】五輪・パラ開閉会式、大幅に簡素化…野村萬斎さんの演出チーム解散へ

式典に使う物品の保管料や人件費の増加で、予算は165億円まで膨らむ見込みで、華美な演出を取りやめる必要が生じている。

日刊スポーツ
野村萬斎氏「苦渋の決断だが納得した」旧体制の解散

「諸問題への対応が必要な時、7人体制だと判断に時間がかかる。効率を上げることを(組織委から)提案され7人で納得した」「(これまでの計画が)再利用されることもあるかもしれない。日の目を浴びるアイデアがあればうれしい」

2021:相次ぐ混乱とリーク

数々の関係者の辞任や、演出チームの案が世に出るなど、皮肉な形でかつての情熱が語られる事態に。

2021年2月:森会長 辞任

女性軽視発言により、東京五輪組織委の森会長が辞任。

2021年3月:佐々木宏 辞任

開閉会式演出統括の佐々木宏氏が女性タレントの侮辱演出案流出により辞任。

朝日新聞
「偏見を見直し、生まれ変わりたい」佐々木氏の謝罪全文

MIKIKOさんから「ピンとこない」、他のメンバーからは手厳しく「面白くない」「ありえない」「一時的なアイデアだとしても、言うべきじゃない」などと、LINE上で、スタッフから非常に怒られ

2021年3月:MIKIKOチーム開会式案の一部がリーク

週刊文集(現在は404エラー)
『AKIRA』主人公のバイクが… 渡辺直美も絶賛した「MIKIKOチーム開会式案」の全貌

2021年4月:政治家たちの口利きリストがリーク

週刊文集(現在は404エラー)
森・菅・小池の五輪開会式“口利きリスト” 白鵬、海老蔵、後援者…

2021年7月:東京五輪が開幕

2021年7月:MIKIKOチーム開会式案がさらにリーク

週刊文集(現在は404エラー)
台本11冊を入手 五輪開会式“崩壊” 全内幕 計1199ページにすべての変遷が

2021年8月:MIKIKOチーム版開会式を完全再現

週刊文集:
幻の“MIKIKOチーム版”五輪開会式を完全再現!【電子版オリジナル】

2021年10月:幻の共演がMステで実現

2021年10月15日に放送された「ミュージックステーション35周年記念4時間SP」。ここで披露されたのは、本来なら2020年の夏に世界が見るはずだった景色の一部だったのかもしれません。

椎名林檎がこの日のために結成したElopersをはじめ、MIKIKOが振り付けを統括するPerfume、そして三浦大知。東京五輪の演出チームや出演予定者に名を連ねていた面々が一堂に会したこのステージは、単なる特番の枠を超えた特別な意味を持ちました。

おわりに

数々の混乱と、予期せぬ解散。椎名林檎が東京五輪という巨大なキャンバスに描こうとした景色は、完全な形で結実することはありませんでした。しかし、リオで提示した「日本の美学」や、後の特番で見せた妥協なきステージは、今も色褪せることなく刻まれています。

たとえ舞台が用意されずとも、鍛錬を積み、最上の表現を追求し続ける。その姿勢こそが、彼女がSONGSで語った「最新の日本文化」の正体だったのかもしれません。

一連の軌跡を振り返ると、そこには国家の祭典という枠組みを超えた、一人の表現者としての孤高の戦いがありました。彼女が守り抜こうとした「日本の誇り」は、形を変え、これからも私たちの心を揺さぶり続けるはずです。

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