【関ジャム】椎名林檎特集の未公開&補足説明
以前(2019.11.17)放送され大反響となった、関ジャムの椎名林檎特集。昨晩(2019.12.15)放送の回では、特集の未公開シーン、そしてオンエアを見たという本人からの補足説明がオンエアされました。
前回の振り返り記事と同様、文字起こしをしてみましたので、お手すきの際に是非ご一読を。
▼椎名林檎特集
数々の名言を連発!「関ジャム」椎名林檎特集の振り返り
未公開シーン
才能に嫉妬するアーティストは?
嫉妬というか…それこそ質問攻めにしたい相手が…イヴァン・リンスさんってご存知ですか?コードワークとメロディの一泊一泊・一瞬一瞬、発明的なことたるや、っていう方です。
トロンボーンの村田陽一先生が、前からよくイヴァン・リンスと一緒にお作りになってて。私が村田先生とよくご一緒してるもんだから、5年前くらいにイヴァン・リンスと村田先生がコラボレーションしているのを知らなかったのに、その二人が奏でているイメージで曲を書いたことがあって。『赤道を超えたら』っていう曲なんですけど。
そのご縁でこの間も、ちょろっとスキャットで参加させて頂いたりしたんですよね。曲作りをご一緒させていただくなんて機会があったら、嫉妬っていうより打ちのめされちゃって、どういう意図でこういう積み(ハーモニー)にしたのかとか、考え込んじゃうだろうなと思ったりします。
現代の人だと本当に1番、イヴァン・リンスさん。
補足説明
※椎名林檎特集の補足
・数々の名言を連発!「関ジャム」椎名林檎特集の振り返り
曲の繋ぎについて
一番に(言いたいの)は、曲の間の事についてが気になったんですけど。
私の場合は曲間を、曲を並べて最後に決める。それで最後に曲の間をなくしているというよりは、50分のアルバムとか、90分のライブっていうのを作るときに、CDであるとか、コンサートであるっていう概念を忘れて頂く為に、没頭して頂く為に、その曲と曲の繋ぎ目から作っているんですね。
で、例えばアルバムの曲の並びで1曲目が(『正しい街』演奏)で終わったときに(『歌舞伎町の女王』演奏)って2曲目にいくのに、いきやすい調。この響き(Em演奏)からこの(Bm演奏)へ、いきやすい調にして作ってるんですよ。それで、最後『歌舞伎町の女王』が(C#m演奏)で終わったら、この響きの次に(Cm『丸の内サディスティック』演奏)。バリアフリーに聴いて頂けるように組んでるんですね。
1stだったらそうだし、2ndだったら『ギブス』っていう曲(GM 演奏)で、(G#m 『闇に降る雨』演奏)みたいな。同じキー(調)じゃなきゃいけないワケじゃなくて、1段上がった感じがするとか。スムーズにいくんだけど、少し景色が広がるのか、視界が開けるのか。聴いて下さっている方が、なるべく一人称として聴いて下さるように。そこの景色を作るために。繋ぎ目が重要だったんです。
で、例えばライブだと、セットリスト別のストーリーを、もっと長編のものを用意したいので、今度はCDで用意してたキーだと、都合が悪かったりして、また変えたりするんですよね。キー設定自体が肝になってるのかもしれません。
転調も、最新のオリジナル・アルバムとかだと、『神様、仏様』っていうのが(D#m 演奏)→(Cm 『TOKYO』演奏)って同じマイナーでいってますけど、そこがキーのみならず拍子も、六拍子から五拍子、同じテンポで同じ歩幅で歩いていって、地続きでいくように。詞も、テンポも、拍子も、コード感も、キーも、全部が一口に60分なら60分、90分なら90分、一息にいってくれるための繋ぎ目。
繋ぎ目から作るんですね、だから後で詰めるとかじゃないっていう。ちょっと足りないかもしれないですけど…まぁそういうことです。
ロバート秋山の発言について
あと、秋山さんが仰っていたのが気になるんですけど…「スーパーのBGMになりたいって言ってた」みたいなことを仰ってて…そんなことは申し上げてなくて(笑)
以前お話した時に「スーパーのBGMのアレンジが気になる」ってことを仰ってたんですね。何か曲がリリースされてヒットすると、必ずフルートで主旋律を奏でてるインストロメンタルが流れるじゃないですか。なぜか。ああいうふうに単純化されて、音が間引かれてしまった状態でも光るモノを、ようするに骨格を作っておくっていうのが、私は大事だと思ってて。
ちょうどデビューした頃、まだ電話が着信メロディーにアイデンティティを込められる時代だったんですね。もっと前でいうとファミリーコンピュータとか、かなり間引かれたBGMじゃないですか。4つしか音が使えないっていう状態なんかでも光るモノっていうのは、例えば私のメソッドとしては、メジャーマイナーを決定づける3度の音を、あんまり使わないとか。使わないっていうのは主旋律で経由しないようにするとか、まぁいろいろあるんですけど。まぁ「間引かれた時に光るモノを作りたい」って言っただけなんです。
で、なぜかオルゴールのCDっていうのも定期的に作られてますよね。あれも気になりますけど。それでも失われない何か。
ジャーンってエレキギターのイントロが必須だとか、カッコイイ音色がなければ成立しないとか、あればいいんだけど、でもそれを間引いた状態でも、美しいのか、カワイイのか、また違う表情を見せてくれる骨格っていうのを、作るよう心がけていました。
今の話分かって下さるかどうかも心配ですね…通訳して下さい(笑)。考えないで無意識にやっている事ばっかりだから。やっぱり専門的な事って。小さい頃からやっている事だし。そうすると、どういう風に言ったら良いかって凄い難しいですよね。この番組凄いなと思って。
申し訳ないですなんか。責める格好にならないと良いんですけど、秋山さんを(笑)
おわりに
1stアルバム『無罪モラトリアム』の正しい街→歌舞伎町の女王→丸の内サディスティックの流れは、ベストアルバム『ニュートンの林檎』にも同じ流れのまま収録されているだけに、よほど完成された流れなのだろうと感じていましたが、実際に本人による解説によって腹落ちしました。
数々の無意識的な音楽的拘りと意識的な曲組によって、名作・名演が生み出され続けているんですね。いやぁ、いい特集でした(改めて)。
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